我的杯子に詰め込まれた我的輩子の話です。

名前はまだない。

黒猫が来ました。

両手で何かをキャッチした瞬間のようなポーズのぬいぐるみです。

人生初、自分で買おうと選んだぬいぐるみです。

ぬいぐるみは、年上の家族から与えられるもの、誰かから贈られるものでした。好きなものを選んでいいよと言われても、お店も、買いたい時も、自分で選べなかった。何か選ばなきゃいけない時もあった。買ってくれる人の好意に感謝しなければいけなかった。

黒猫さんは、そういう出会いとはちょっと違いました。お店から来た連絡よりも2日前に届くとクロネコヤマトさんから連絡が来て、慌てて家で待機していたのに予定の時間に届かなくて、仕方がないから仕事に行って、予定よりずっと遅い時間に帰宅して、やっと出会えた黒猫さん。ぬいぐるみだって、猫は人の思い通りにはならないものと学びました。

考えてみると、私はぬいぐるみに名前をつけたことがありませんでした。人前ではウサギ、とか、クマ、とか呼んでいました。ウサギやクマと二人きりの時は、お互いの名前は必要なかったようです。黒猫さんに名前がつくかどうかはわかりません。

抱いて寝るわけでもなく、終始撫でまわすわけでもなく、ソファの上にキャッチ・ポーズをしている人がいる、というだけのことです。私はいつものように仕事をして、その人はずっとキャッチ・ポーズをとっている。お互いマイペースです。

大人のぬいぐるみ、いいかもしれないと思っています。