我的杯子に詰め込まれた我的輩子の話です。

住宅ローンのこと

仕事がひと段落ついた昨年あたりから、それまで見直す余裕のなかった保険を整理し、住宅ローン完済に踏み出そうと思いました。もともと10年間の控除が終わったら早めに完済したいと思っていたのですが、ネットで調べると「一括返済はお勧めしない」説が大半でした。ただ、退職金で返すことを前提にした話だったり、私より若い世代の夫婦なら教育資金もかかりますよ、という話だったりで、「私の場合」に近いモデルは見つかりませんでした。ずっと以前に銀行に打診した時も「よくよく考えてください」と牽制されていました。何がそんなに拙いのかわからないまま、とりあえずローンを借りている銀行のご意見を聞きに行くことにしました。

案の定、担当者は「お勧めしません」との返事。一時的な手元資金の減少だの、団信だの、ネットでよく書かれていることを並べた後は、物価上昇率2%の時代にそれより低い金利はお得だと言われました。

では、そういう条件は私の場合に必要でしょうかと、家族構成や仕事、定年後の予定等をある程度提示して、銀行員に聞きました。手元資金、どうにかなりそう。団信のメリットは、ローン完済すれば関係ない。物価上昇2%の時代にそれより低い金利はお得という考えは、経済学的にはその通りかもしれないけれど、何かしっくりきませんでした。若い女性の担当者は私の話を聞いた後で、「完済も選択肢かもしれないけど、でも慎重に」とのこと。とりあえずもう一度考えますと言って立ち去ろうとした時、担当者の後方で話を聞いていた管理職の男性がやって来て、抵当権抹消手続きは銀行でも出来るけれど、10分の1くらいの費用で自分でできます、そちらの方がお勧めです、と言いました。この客は頑固そうだと思われたのかもしれませんが、私としては、低金利・物価高の時代だけど完済は必ずしも無謀な選択肢というわけではないと、言ってくれた気がしました。大いなる勘違いかもしれないけれど。ただ、管理職の男性と私はあまり年齢が違わない感じでしたので、この年齢になった時の住宅ローンの重みはわかってくれたのではないかと思います。

結局、当面の資金繰りがどうにかなるなら、そして、多少の機会費用(この先何が起こるかわからないので、あくまで期待値、予測に過ぎないと、エコノミストじゃない私は思う)は止む無しと今思えるのなら、払っちゃえ、ということで、一括返済しました。自分の判断です。

ネット上のアドバイスの脅し文句になっていた完済の手数料は、2万円余りでした。それに、他の金融機関から引き落とし口座に資金を移す際の振り込み手数料が1000円弱とその金融機関へ行くまでの交通費500円。

こうして悩んだ割には、引き落とし当日、銀行からメールで数行の完済通知が来ただけ。こんなにあっけなく、電気代の引き落としみたいにスムーズに、終わっちゃうのかと、拍子抜けしました。