我的杯子に詰め込まれた我的輩子の話です。

台東好行

台東行きの交通手段を前日変更で飛行機にしました。台東行きは、いつも片道が鉄道、片道が飛行機。過去2回は飛行機が必ず台風にあたり、一度は中部の山中に落っこちるんじゃないかと思ったほど激しく揺れました。予約便が飛ばないとわかって一本早い便を当日キャンセル待ちでぎりぎりチケットを手に入れて台北に戻ったこともありました。

だから、台風が来ない今回は期待値が高く、早めに行って窓側をお願いしました。

預け荷物10キロ以上は追加料金がかかりますが、大したことはない金額です。鉄道の景色も良いのですが、冷房の効いた車内に4時間以上も座りっぱなしで、スーツケースがあると足を伸ばす空間もない。今回は無理しないことにしました。

そして、離陸。曇り空の台北を出るまでは少し揺れましたが、花蓮にさしかかる前には快晴で素晴らしい景色。花蓮は東側の交通の要衝と伺いましたが、空から見てそれを実感しました。何より、花蓮ブルーと言ったらよいのか、周辺の海の色が独特のコバルトブルーで美しい。今日は低気圧の関係で台東に近づくにつれて波が荒くなっていましたが、それでも私には美しく見えました。

飛行機に変更した理由はもう一つあって、台東のおすすめ場所を伺った際に教えてもらった都蘭の新東糖廠文化園区に行きたくなったからです。列車で行くと時間的に無理かなあと諦めていたのですが、飛行機なら大丈夫。ホテルに荷物を置いてサンドイッチを食べたらちょうどよい時間にバスが来ました。

片道50分。バスターミナルの次の中央市場で大勢のおじいちゃん、おばあちゃん、家政婦さんらしき人達が乗り込んできました。その何人かは私と同じ都蘭で降りたのですが、台東の超高齢化社会を垣間見る思いでした。

高齢の方々の話す言葉は中国語でも台湾語でもなく、よくわからないけれど、私が聞いたことがある範囲で判断すると先住民の言葉ではないかと思います。おばあちゃんたちの中には、魚のにおいの染みついた服を着ている人もいました。魚を売っていたのかなと思ったりします。バスの中は、地域の人々の暮らしがわかる空間ですね。

そうして出かけた文化園区では、レインボーフラッグを掲げたカフェに入りました。男性2人でやっているお店です。台北から8年前に引っ越してきて、海の近くに住んでいるそうです。彼らに海岸への行き方を聞いて店を後にしました。

私は目的地を決めると暑さも手伝って早く行こうと急いでしまうのですが、今日は台東への移動以外、何も予定していなかったので、ゆっくりきょろきょろしながら歩いてみました。すると、町の人たちの生活が目に飛び込んで来る。自分の仕事に関係ある情報まで一緒に入ってくる。以前、ここをバスで通り過ぎた時には、まったく見えなかった町の姿です。

強風のおかげで暑さを不快に思うことなく、綺麗なタイル張りの棺桶のようなものが並ぶ墓地の横を通り抜けて、キャンプ場も併設されている海に出ました。とても風が強くて結局足をつけることはしなかったけれど、心の風通しはすっかり良くなった気がします。

残念だったのは、2年前に、また来るから、と言い残して後にした、パイワン族の関連グッズを売るお店が中華路からなくなっていたことです。小米酒のアイスクリーム、今度は食べようと思ってきたのに。ウラさん、どこに行ってしまったのか。台東の市内はすっかりあか抜けた通りになって、台湾のどこにでもありそうなお店も高級ホテルも増えました。それがちょっと残念な気もするわけです。

でも、元気をくれてありがとう。明日のアポも頑張ります。台東、私は好きです。