我的杯子に詰め込まれた我的輩子の話です。

冷蔵庫みたいなクーラーがあった頃

夜になっても暑さが収まらないこの頃。エアコンをつけて寝ようものなら寝間着から出た腕や足先が冷え、数日それを続けると確実に不調につながります。窓を開けて寝れば、朝方の冷気(でも26,27度はあるようですが)で風邪気味。扇風機を回したまま寝ても手足の先は冷える。どうしようもない夏。暑いのか、寒いのか、はっきりしてほしい夏。昔からこんなに過ごしにくかったっけ?

子どもの頃は、クーラーはなかったのです。木造の2階建て。毎晩、2階の大きな窓を開け放して、虫と蛙の声を聞きながら眠りに落ちていました。気温も若干、当時の方が低かったのかもしれないけれど、暑くて夜中に目が覚めたことはなかったように思います。1階は理髪店だったので、クーラーがありました。大型冷蔵庫みたいな大きなクーラーで、稼働中、水がポタポタ落ちるやつです。昼間、外出から戻ると、私も大人もクーラーの前に立って冷たい風に吹かれました。

次に引っ越した家でもクーラーはありませんでした。3階建ての鉄筋コンクリートの3階に住んでいたので、暑かった。おまけに窓が木造の家よりも少なくて小さかった。その頃、お店は別の場所で営業していましたが、やはり大きなクーラーがあったように思います。その頃は学校や自宅で過ごす時間が長くて、あまりよく覚えていません。

3年くらい経って、別の鉄筋コンクリートの家に引っ越しました。今度は階下の店舗の天井に大きな業務用のエアコンがついていました。自宅にも一部屋だけエアコンをつけましたが、相変わらず窓を開けっ放しで寝ていました。すると、ほぼ毎晩、猫の喧嘩で眠りが浅くなるのです。年に1,2回あるだけの熱帯夜は窓を閉め切って、部屋と部屋との間のドアをすべて開けてからエアコンを入れました。

いろいろな経緯から、今、エアコンはすべての部屋につけられ、我が家はすっかり「近代化」しました。虫の声を聞いたことはありません。夜中に猫がプロレスやカラオケ大会をすることもなくなりました。たまにはやっているのかもしれませんが、防音の窓ガラスで全く聞こえません。エアコンが付いた部屋で、住人は夏バテ中です。今夜も部屋を閉め切ってエアコンをつけて寝ているはずです。

緑がかったベージュのような、灰色のような、旧いプラスチックの隙間から噴き出るクーラーの冷た過ぎる風。あのままでも良かったような気もしています。