我的杯子に詰め込まれた我的輩子の話です。

温もり

猫を抱いたのは初めてなのです。スコティッシュフォールドの子猫。生まれて数週間だそうです。

昔、小学生だった弟が子猫をTシャツの下に隠して下校してきたことがあって、動物嫌いの父にこっぴどく怒られ、元居た場所に戻して来いと言われて、しぶしぶ返しに行ったことがあります。弟は、子猫の温もりを小学生の時に知っていたのですね。

今日の子猫、今は飼えないので、抱っこだけ。ツルツルした生地のダウンコートに爪を立ててよじ登りながら、私を見上げミャーミャー鳴いておりました。

抱っこしたのが初めてだから、子猫の体温を感じたのも初めてです。人間の子どもの体温ぐらいあるかと思ったら、子猫のそれはほのかなポワンとした温もりでした。あのほのかな温もりがお母さんから離されているのは、不自然だと思います。

子猫が入れられていた展示ケースには、1年以内に亡くなった時や先天性疾患が見つかった時の保証があると書かれていました。

それがどうにも心に引っかかっています。子猫がモノ扱いされているような気がして。病気もせず、元気で寿命を全うしてくれるのが一番よいですが、でもね。23万円と消費税がつくから、1年保証が要るのではないでしょうか。

ペットを飼っていない私がとやかく言う問題ではありませんが、動物をお店で展示販売する仕組みには、心情的に賛同しかねます。ペットショップでの出会いがとても良い形で実を結ぶこともあるとは思いますが、命に値段をつける仕組みにも見えてしまいます。

飼えない私は、あのほのかな温もりを預けて来た子猫が一生可愛がられたらいいなあと思っています。