我的杯子に詰め込まれた我的輩子の話です。

忘却

大事なことに気がつきました。弟の誕生日を過ぎていました。

ずっと忘れたことがなかった誕生日。海外生活の中でも必ず祝ってきた誕生日。

生きている人は、こんなふうに亡くなった人のことを忘れていくものでしょうか。

だから、何回忌だの、お盆だの、定期的なお墓参りだの、その人の存在を忘れないために続けるのでしょうか。

そういう定期的な行事をやり続けることの意義を、少し懐疑的な目で見ていたのですが、それは生きる側の都合なのかもしれないと思うと、納得がいく気がします。

忘れたくないと思っていたことも、忘れていく。時間とはそういうもの。

それでも忘れたくないから、書き留めたり、記憶を掘り起こしたり、いろいろ努力をするのかもしれません。

忘れたことを淡々と受け止めている自分に少し驚きつつ、おねえちゃんは前を向いて歩き始めたのだと、信じたいと思います。お誕生日おめでとう。