南山舎が2015年に出した『やえやまーSHIMATABI-ガイドブック』と沖縄タイムス社が2012年に出した『石垣島で台湾を歩く もうひとつの沖縄ガイド』。どっちも表紙が素敵で買った本です。
どちらもハンドバッグに入る大きさの本で、扱っている地域も重なるところがありますが、見せ方はずいぶん異なっています。後者は八重山発の地域教材と銘打っています。
南山舎のガイドブックは観光中心ですが、広告が入っていない、素敵な一冊。至れり尽くせりではないけれど、たぶん、行ったらどうにかなりそうな感じの情報は入っています。手作り地図と自転車コースの提案が嬉しいところです。石垣島の美食は牛肉と海産物のようですが、これは台湾の金門島と同じだ~と思いました。このガイドブック、眺めるだけで幸せになる一冊です。
沖縄タイムス社のガイドブックは、青い海に続く一本道の左横に「大同」というバス停が立っている表紙。その下に神様とパイナップルがランダムに配置されています。でも、あれ、もしかしたらこれは・・・騙されたかな?バス停と、海に続く道はセットではないような気がします。
この本によると、石垣島には台湾からの移住者が多くて、台湾の祭祀が今も行われているようです。清明節のお祭りの写真、とても興味深い。これをシーミーと呼ぶそうです。ミルクと呼ばれる神様もいるらしいです。以前その単語が出てきた時に、ミルクって何々?と不思議に思っていたのですけれど、ガイドさん、説明してくれなかった。この本を読んでから行けばよかったなあ。それにしても、いったいどこまでがこの地域独自の文化で、どこから台湾と混ざっているのか。
前から不思議なのですが、沖縄とか八重山の言葉って、もともとどんなものだったのかしら、と。日本と中国の間にある地域では、昔はどんな言葉を使っていたのか、日本や中国と交流する時は、通訳だったのかしら、と。国境の向こうは違う言葉、こちら側は共通語がまかり通るという感覚は、一般性はないのかもしれないなあと。今の国境が国境ではなかった時代、その地域にはどんな言葉が行き交っていたのか。写真の向こうにその地域の歴史が見えないか、じっと見つめてしまいます。
少し前まで、石垣島をリゾートとしてしか見ていなかった私にとって、島の歴史と生活が垣間見えるガイドブックは、お隣の家を覗き見るようなドキドキ感があります。でも、この素敵な表紙、海に続く白い道は、一人で行ってもどうしようもないじゃんと思わせる景色でもありました。そもそもバスの本数が少なさそうだし、周りに何にもなさそうだし、帰りのバス逃したらどうするわけ?ということで本棚にお蔵入りした二冊。
お蔵入り解禁になったのは、最近、ウェブサイトで見たエッセーの中に「大同」のバス停の話が出てきたからです。パイナップル栽培の会社の名前なのだそうです。
(旅するカモメ:ボーダーツーリズム 八重山/1 石垣島 パイナップルが結ぶ台湾との絆 - 毎日新聞)
それを読んでいたら、無性に行きたくなりました。パイン畑の中にあるバス停でもあるまいし、行ってどうするわけ?な場所だと思うのですが、バス停の前に立ったら気が済むような気がする・・・わけです。
写真って、すごい力を持っていますね。この写真一枚で、休暇を取っちゃったわけですから。私のツボは、青いサンゴ礁ではなくて、古いバス停にあるみたいです。
どうか季節外れの台風が来ませんように。