我的杯子に詰め込まれた我的輩子の話です。

追悼

いつも堂々とした風格の墨色の野良が車にぶつかりました。

墨色の野良にいつもくっついていた、もう一匹の若い野良は、墨色の子にずっとくっついたまま、離れようとしなかったと聞きました。

二匹は昼間はそれぞれ思い思いに過ごし、夕方になると誰かが用意してくれたダンボールハウスに戻って来るのが日課でした。ダンボールハウスには、冬のあいだ二匹が包まっていた毛布、誰かが置いて行ってくれた毛布が無造作に放り込んであります。

若い野良は、夕暮れになると、墨色の子と住んでいたダンボールハウスにやってきて、中を覗き、誰もいないことを確かめると、いつも墨色の子が寝そべっていた同じ場所に目を閉じて寝そべります。慣れた人を見るとにゃーと鳴きますが、動こうとはしません。

見ていると切なくなります。私も一緒ににゃーと鳴きたくなります。

f:id:wodebeizi:20180516100050j:plain